2014年11月27日木曜日

Vol.177「憧れの人」の巻。

きっちりと季節はやっぱり巡ってくるもんで、あんなに燃えていた緑も黄色や赤に色づき、アスファルトに跳ね返る真っ白な光に目を細めて見れば、枯れ葉がカラカラと風に転がって秋が来たんだなぁと、冬もやっぱりくるんだなぁと実感、ひんやりと冷たい空気も気持ちいいこの頃、いかがおすごしか。

「やっぱりその時はくるんだなぁ」と言えばやはり、先日伝えられた高倉健さんの訃報です。渋谷の街の中、携帯でそのことを知り、まわりを見れば人は歩き、信号が点滅し、音のうるさい宣伝トラックなんかが行き交って、街は変わらず動いてました。

この場所でも何度か書かせてもらった高倉健さんのこと。自分にとっては高校三年の終わり頃出会った健さんの本「あなたに褒められたくて」に感銘を受け、こう生きられたらと思い、憧れの人であったので、マジかよとなって足が止まり、どうしていいかわからずとりあえずその時の街を写真に撮るなどして気を落ち着かせて、おつかれさまでした、ありがとうございましたと、感謝の気持ちになりました。

自分が小さい頃よりCMなどでその名前は知っていたし、まわりのおいさん方からも聞いていただろうし、高倉健さんという人はおいさん方にとってなにやらすごい人なんだろうなぁくらいの認識で、子供心としては、テレビにもあんまりでないし地味で頑固そうな人だなぁくらいの印象でした。

高校の頃公開された「ブラックレイン」という映画では松田優作に惹かれ、インタビューなどを読んでいると松田優作も健さんのことを慕っており、ますます健さんてどういう人なんだろうと知りたくなって出会ったのが、本屋さんにて置いてあった健さんの本「あなたに褒められたくて」でした。

任侠映画の人というイメ-ジもあったのでその優しい文調に驚いて、立ち読み進む度にこれは買わないといかんなとなって買って家で読むと、なんだかとても大切なことを教えてもらった気分になりました。

その時一番心に残った言葉が「お心入れ」って言葉でした。

その当時の自分としては、高校ももうすぐ卒業してこの先どうなるのか、何かやらかせそうな気はするものの、何をどうして生きていこうかと、ぼんやりと遠くばかりを眺めては不確かな未来に期待もしていたけど不安もあった時期だったとおもいます。

そんな時期に残った言葉「お心入れ」。例えばその本の中の話で、日本料理屋などに行って女将さんが「この魚はどこどこで捕れたなんとかでどうこうしたものです」等々と、聞いてもいないのに料理の説明をしてくれたりするけれど、ああいうのって説明しなくてもいいんじゃないですかねぇ、こちらが勝手に受けとるもので、説明はいらないんじゃないですかねぇ的なことが押しつけがましくなく呟くように書いてあって、人に何かをしようとするときに見返りも求めず、何かそのものに心を入れて渡す、それだけでいいんじゃないですかねぇ的なことが書いてあり、その後に健さんがそういうことに気づいた時に感動をしたというエピソードがいくつか書かれ、それがまたじ-んときて。

ただなんとなくコ-ヒ-でも飲みながらぼそぼそっと話してくれるような文、そしてその素敵なお話の内容に嬉しくなり、これは素敵な本に出会ったとおもいました。

遠くばかり眺めては気持ちがあっちにいったりこっちにいったりしてた自分の心が、あっちでもこっちでもなく、ここなんだって落ち着かせてくれたような、自分は自分の心で生きればいいんだと教えてくれたような本でした。

それから心持ちが変わったのだけど、具体的には一番は飯の食べ方向き合い方なんかがかわったようにおもいます。

ここにあるまでに色んな人の手や気持ちを経てきたんだろうなとか、これから自分の体に入れさせてもらうとか、魚や肉やなんかだったら命を入れさせてもらうとか、そんなことを想って食べるようになったりしました。

そして、その本の最初に書いてある一行「人が心に想うことは誰にもとめられない」。

心に尾ひれをつけたり、なかったことにしようとしたり、仮面をかぶせたりしなくていいんだと、なんだか自由な気分にもさせてもらいました。

そんな本を読んで健さんの映画を観ると、それまでわからなかった健さんの魅力がビシビシと伝わってきてまたシビレました。

余談ですが、20年ほど前、下北の風呂なしアパ-トで弟も一緒に住んでいたときがあり、二人で健さんの映画「網走番外地」シリーズを借りてきては「健さんかっちょいいな」と二人の中での健さんブ-ムがあったある日そのアパ-トで寝ていると、引っ越してきたばかりの隣人が深夜から複数で飲み会をはじめ、ぼろアパ-トなのでそれはお互い様な上にこちらギターを弾いたりもするもんで多少騒々しいくらいなら我慢するところが、こちら翌日ライブがあり気が張っているうえに、女子を交えてのただのバカ騒ぎの会話がまる聞こえであまりのバカバカしさに腹立たしくなり、気づけば隣の部屋に上がり込みガラにもなく怒鳴り込みとなってシ-ンとなった部屋にもう一人、遅れて入ってきた弟が後ろに立った気配を感じたので、頼もしいじゃないかと、じゃあそういうことでよろしくと振り向き帰ろうとすると、そこに立っていたのは弟は弟であったが、上半身裸で腹にサラシを巻いた弟が健さんよろしく睨みをきかせていたのでありました。これにはその部屋を出たあとに二人で大爆笑してしまい、今になって思えば逆に隣人に申し訳なかったなとおもいますが、健さんには男がなりきり、いきりたくなる部分もあるようで、その昔健さんの任侠モノが連続して公開されていた頃、映画を観終わった客がみんな健さんになりきって出てくるので、映画館のロビ-には目を冷まさせるために鏡が設置されるようになったなんて話も聞いたことがあります。

自分は任侠モノ時代よりも「あ、うん」などの人情モノの時代のほうが好きですが、この任侠モノ全盛期だった頃、今より全然娯楽の種類もなかった頃、一極集中して世の中の男達の憧れを受け、活躍した凄さってやっぱりあるとおもいます。

激しい時代の血気盛んな男達から憧れられた健さんだったからまた、その本を開く前には、きっと破天荒で豪快な武勇伝話が書いてあるかと思えば、ほとんどが自分のことより誰かのさりげない優しさだったり、思いやりだったり、大事なことは決して派手派手しいことでも大袈裟なことでもなく、さりげない日常の中にあることが書かれた本で心に沁みました。

先にも憧れと書きましたが、訃報を知った時にも憧れは憧れのままやったなぁと、あんなに感銘を受けたのに、とりこぼしてばかりでなんにも出来ていない自分は正反対やなぁと、でも十代の頃にそんな人の心に本を通して触れられてよかったと、変わらず騒がしく動く街の中でおもいました。

その後テレビでは健さんのことが流れ、その中でも健さんは生前のインタビューにて「人が人を想うこと、それが一番美しいことなんじゃないですかねぇ」って言ってました。 中国の方々からも政治家の方がお悔やみを述べるほど人気があったことも、はじめて知りました。

政治家が行ってもニコリともしあえなかった関係だというのに、健さんは人と人が繋がるということを、文化、映画、その人柄で当たり前のようにやられた人なんだなぁとおもいました。 「人が心に想うことは誰にも止められない」 その言葉を他の人の身になっても感じられるから、こうして色んな言葉よりも寡黙な役をとおして通じ合うことができるんだろうとおもいました。

また刑務所に慰問に行った時も皇室から賞をもらった時も、挨拶の最初に「自分は前科のある役ばかりやってきた俳優ですが…」ということを言っていて、ほんとにすごいなとおもいました。いつもどこか演じて来た役、接してきた人と寄り添い、その人達の幸せを祈っていたんだろうなと思わせられました。

健さんの本「あなたに褒められたくて」。これからの時代の教科書になればいいのにとすらおもったりして。
またその本を読んだ時の気持ちを思いだし、なんでもかんでも言いたがる時代、自分、街の中で、勝手に恥を知らされるこの頃です。

これからも映画、本の中で健さんの「想い」を感じさせてもらおうとおもいます。

高倉健さん
おつかれさまでした。
そして
ありがとうございました。

「あなたに褒められたくて」まだ読んでない人いたらばぜひ。


渋谷川
ここを通るたびにインザスープ四人が立ってるのが見えます。

中尾と草場 ワンマン無事終了 音歌の旅はつづくよどこまでも。

ふと入った蕎麦屋にて 落語が流れていて 意味なんか全然わからないんだけど
なんだか いいなぁとなって
そのまま CD買って聞いてるうちに話が少しずつわかってきて
気持ちがしゃんとするし おもろいなぁと。
これ行きたいですな。

藤沼さん生誕55 歌い叫び踊らせてもらいました。
おもろかったです。

藤沼さんピック。
親指にはめて弾くタイプのサムピック。
普通はフォークシンガ-などが指弾きするときにはめるのだけど、
これで藤沼さんはゴリゴリのロック掻き鳴らすもんで、
どうやって弾いてるのかなと、独特な奏法でこういうとこもかっちょいいんですよね。

かっちょいいっすね。

全国青年大会。
郷土芸能を受け継ぐ青年の大会。宮崎からいとこが出場。

かっちょいいですね。

アスファルトに転がる枯れ葉みると、
ギターケ-スもってはじめてライブハウスに出た四ッ谷の街をおもいだします。

健さんの訃報を知り
撮った渋谷の街 

きれいや

早朝キャッチボ-ルで多摩川へ。

枯れ葉 ふかふか ジュウタンのごとし



♦独占企画 諭介がお答え致します


■「ボーカルはバンドの自慢係、いいですね。他のメンバーもボーカルを自慢してくれるといいですね。でもやっぱりそういうのって言わないですよね。ライブ中、音の中でニヤッと笑ったりしてるのがそういう自慢なのかもしれないって今ちょっと思いました。私はそういうのを見たときに、なんかいいなって思うのでやっぱりそうなのかもしれないですね。そして、私も1人のファンとして諭介さんを自慢する係になりたいです。と言っても、すでによく褒め称えているんですけど、主に心の中とかでなので今だけ表に出して伝えてみました(笑)人生で自分が信じる誰かに勧めたいボーカリストは中尾諭介です!って、これからも思っていけるように歌っていて欲しいなって思います! 」 (2014年11月18日 17:25 A.T)
→ありがと!自慢係よろしくたのんだ!

■「今年のジュテームも楽しくて、あっという間でした。 インザスープ、ソロ、ニックバッカーズ、中尾と草場・・・いろんな諭介さんがいるけど、私にとってインザスープは特別な存在。そんなバンドに出逢えたことを私も、ボーカルじゃないけどみんなに自慢したいです。(もう結構自慢してるんですけどね。)」 (2014年11月23日 10:51 夕陽)
→ありがと~これからもよろしくどぇす。

■「自慢できる仲間がいるって素敵なことですね。音楽の才気あふれる方々なのですなあ。というか、バンドそういう成り立ちだったんですね。。これからも音楽を共有し共感し共鳴しあって益々光り輝きますこと期待致しております。 p.s. クリスマスソング,キャロル何が好きですか?好きなのいっぱいあるけど、、自分はきよしこのよるです」 (2014年11月24日 10:12 たかの)
→クリスマスソングはなんやろやっぽり長渕剛の僕だけのメリ-クリスマスかになるやろか。キャロルはファンキーモンキーべいべ-のしかおもいうかばんのよね。とほほ。

3 件のコメント:

  1. 諭介さんが感銘を受けた「あなたに褒められたくて」 私も買いましたよ!  

    高飛車な感じではなく、自分より年下の人からも何かを学ぼうとする姿勢や誰にでも感謝を忘れない所、文章からも伝わってくる穏やかで温かい人柄、紳士的な感じ・・・まだ全部は読めてないけど高倉さんを前よりもっと好きになりました。

    諭介さんの憧れの人な理由もちょっとだけ分かったような気がしましたよ。

    素敵な本を教えていただき、諭介さんありがとう。

    【質問】   諭介さんは自宅でコーヒーを飲む時、缶コーヒー、インスタントコーヒー、コーヒー豆を使って淹れる、どれが好きですか?
    私は忙しい朝でもそれぐらいのゆとりがある人でありたいので、淹れる派です。
      





























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  2. 高倉健さんの訃報は、仕事中に知りました。普段健さんのことを話題にしたりはしないのに、それを聞いたときのみんなの反応が大きくて、誰の心の中にもその存在はあった人なのかと、改めてそのスターっぷりを感じました。大声を出すイメージがなかった女の子までも「えー!」って叫んでたのが印象的です。それでも、私は健さんのことはほとんど知らず、亡くなってから少しずつ知り始めるという感じ。諭介さんからはもう結構前からコラムとかでその本のことを聞いていたのに、なんですぐ読まなかったのかなぁって、読み終わった今ちょっとだけ後悔してます。どのページの健さんも意外な一面を見せてくれて、最初は私も全然違うと思っていたけど、ちょっと諭介さんっぽいところもあるなぁと思ったりして。健さんを可愛らしいなんてこの本を読まなければ思うことなかったんだろうな。あと諭介さんが教科書になればいいっていうのもなんだかわかるような気がしました。ふと何かに迷ったとき、この本の中の健さんだったらどうするかな?っていうのを考えてみたりする。それが正解じゃないとしても、間違いでもないなって思ったんです。本、次貸してね、って言われてます。

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  3. 「人が人を想うこと、それが一番美しいこと」じーんと心にきて、じんわり涙が…。
    みんな当たり前に誰かを思っているけど
    さらっとこんな言葉にしちゃうなんて
    健さんを師匠と呼びたいくらいです(笑)

    この言葉を選んでブログに載せてくれた諭介さんにも感謝です(*^^*)

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