2013年4月28日日曜日

Vol.158「石巻、ライブハウス大作戦」の巻


月がでかい 窓からみえる 月がでかい。これでもかってな寒暖の差を繰り返し、ようやっと暖かくなってきて気持ちいい。
新緑が芽吹く木漏れ日ゆらゆら、風がカラっとしていて気持ちのよかった日。いつもこんな日だったら、手はいつも開いたまんまでいられるんじゃないかね、欲しかったものもひとつふたついらなくなったりするんじゃないかね、なんてことをおもった今日、いかがおすごしか。

先日、宮城県は石巻市へ。震災後、ライブハウス大作戦と題して寄付を募り建てられたライブハウス、「ブルーレジスタンス」へ。
着いてはじめて気づいたが二年前に行き泥かきをした商店街に、そのライブハウスはあった。

ちょうど二年前、震災から一カ月ちょっとの時、ここでも書いたけど友達に誘われボランティアスタッフとして石巻へ行った。
あの時あった家と家の間のひざ下くらいまでの泥はもうなかったし、ヘドロのような匂いもなかった。お店はほとんどやっていなかったが所々営業していたし、車も走ってた。何よりよく目についたのが石ノ森章太郎さんの漫画のキャラクター、009やら仮面ライダーやらロボコンのモニュメントや絵が商店街の至るところにあって光ってた。 

二年前に行った時は桜が満開だった。テントを張った大学やら石巻の町が見下ろせる山の上の公園でみた桜。やたらまぶしく見えたピンク。その桜満開の山の上の公園では、きっと毎年花見の人達でいっぱいだったろう時期に、そこにいたのはたくさんの自衛隊の人達とボランティアスタッフだった。その中でひと家族、お母さんと子供二人がブルーシートをひいて、三人でお弁当を食べてお花見をしてた。どうしてあの時にあのお母さんは、瓦礫になってしまった町を見下ろすあの場所に子供達を連れてきたんだろう。どこからきて、お母さんはどんな気持ちだったんだろう、色々と考えては、そんなこと自分にはわかりえないことなんだと考えるのをやめて。それから二度の桜は、東京にいてもその風景を思い出させる。

 避難所だった学校の体育館で歌った時、おばさんに言われた「ちょっと前だったらみんな歌をきくことなんてできなかったけど、学校に鯉のぼりがたってから気持ちが少しずつ前向きになってきたから、どんどんやってちょうだい」って言葉。コブクロの歌のリクエストに答えられず、他にはと聞いていって何回目かでやっとできたのが、長渕剛のとんぼだったこと。「上を向いて歩こう」をそのおばさんの提案で体育館を歩きながらうたったこと。 流され壊された家々、誰かのレコード、ギター、ジャビットくんのぬいぐるみ、荒らされたあとの自販機、瓦礫の中で「やるしかないことやるしかない」ってなんども心で呟いていたこと。やるしかないんだってかいた泥。ボランティアスタッフの人達のいい顔。差し入れに缶コーヒーをくれた地元の人。夕日。

あれから二年ぶりに偶然きた商店街に、なんだかよばれて来たような気分にもなった。夜になると居酒屋やらスナックやらバーの明かりがついてスナックからはカラオケが聞こえてきたりして、少しほっとなった。そんな中いろんな人達の気持ちで建てられたライブハウス「ブルーレジスタンス」。外から見ると手作り感のあるかわいいハコ。そんなライブハウスの明かりが商店街にともっていた。バンドが来てそれを観にくるお客さんが来て、そのパワーやお金が少しでもこの商店街に注がれ、循環していくんだとおもったらその明かりがとても心強く見えた。いいことばかりではないかもしれないけど、少しでもこうやって歌える場所がこの商店街の力になるとしたら、素敵な流れだとおもった。

ライブハウスの中は防音設備もしっかりしていて普通のライブハウスと変わらなかったが、フロアの両サイドの壁はまだできてなかった。その壁はかまぼこ板のひとまわりでかいサイズの板を並べて、途中までうめられてた。その板の一つ一つには出演者やお客さんの名前が一枚一枚書いてあった。その板は一枚5,000円で売られていて、購入した人が名前を書いて並べられていく仕組み。そのお金がまたこのライブハウスを中心に循環していく。僕たちも書かせてもらったので、いつかブルーレジスタンスに行くことあったらば、ひときわきたない字になってしまった僕たちの板をみつけてみてもらいたし。

そしてこの日のライブは6バンドが東京からきて、もうひと組は地元の高校生たちのバンドがオープニングアクトを務めてくれた。今回は中尾と草場での出場。バンドの中にベースとアコギのアコースティック形態での出演。

東京で二人、練習してやる曲を決めた。いつものように当日歌いたい曲を選んで組み合わせていった。曲は同じ曲でもその場所や雰囲気で変わってく。それも想像しながら曲を決めた。
んが、実際に町についてその町並みをみた時にすこし躊躇した。ふさわしくない言葉はないだろうかと、改めて歌詞を口ずさんで確認した。曲を変えたほうがいいかもしれないともおもった。
 というのも先に書いた二年前、急遽体育館で歌うことになったとき、ボランティアスタッフの人たちと誰もが知ってる歌のほうがいいだろうということになり、曲を選んで歌ったのだが、あるワンフレーズを歌うときに、いつも口ずさんでる歌のはずが、その場で発するべきじゃないと感じノドがしまってしまい声がうまくだせなかった。その場になるまで気付けなかった。今までになかったその経験は自分にとって忘れられない経験だったので今回も考えてはいたが、その風景の中でまた頭をよぎり慎重になった。結果二人で相談して改めていけるとなって、昔からうたってきた歌、最近できた歌を二人ならではのアレンジでかまさせてもらった。MCが長くなってしまったのが反省点ではあるが、想いの集まるライブハウスでめいいっぱい楽しませてもらった。Kとは昔からいろんな場所で音を出し合ってきたが、この日もまた忘れられない日になるだろうとおもう。そしてこの日やった曲達も自分たちの中でこれからまた一緒に膨らんでいけそうな気がした。

好きでやらせてもらってる歌の旅、そこに足を運んでくれ聞きにきてくれた人と少しでも共鳴できて繋がれて楽しめたらそれだけでも嬉しくおもろいことだが、その上めいっぱい楽しんだもの同士のパワーがまたどこかへ流れていって何かの力になるとしたらとても気持ちのいいことやし、その循環、素敵な流れの中に自分も参加させてもらえたのが嬉しく思ったりして、主催者のみなさん、ライブハウス大作戦、集まってくれたみんなに感謝です。

やるしかないことやるしかないんだと、最後の最後まで生き倒すんだとおもわせられたりもした日、これからも歌の旅ガシガシで、またいつか来るべ宮城県は石巻の立町の商店街、ブルーレジスタンスへ、や。
この日まだつぼみだった桜の花、今頃咲いてるかね。 (おわり)




それ以来鯉のぼり見るとぐんぐんくるようになったなり。

この右側にも家があったのだけどなくなってた。
その間を三人で泥出しした場所、スクータ-やら台車なんかもハマってた。

中尾と草場で。

商店街。

うむ。
だら~ん  やっぱ風吹かないとね

うむ びゅんびゅん。

茎がまっすぐで白がふわり、真夜中のちゅうりっぷ。



♦独占企画 諭介がお答え致します

2か月前にこのコーナーで教えてもらった絵本『だくちるだくちる』、読んだことがなかったので、図書館で借りて読みました。この話、いいですね!しかも絵は長新太さん!昨年まで図書室で働いていましたが、長新太さんの絵がパソコンに使われていたので、絵のタッチが懐かしかったです。今は療養中ですが、また図書室に戻れたら『だくちるだくちる』を生徒の前で読みたいな、と思いました。家でちょっと声に出して読んでもみました。素敵な絵本を知ることが出来て、嬉しかったです。ありがとうございます
みぃ  2013329 16:27
自分が好きなものを紹介して、図書館までいって手にとって、声に出してみてくれたなんて、なんだか嬉しいわ。いいよねあの絵本。声にだして読むっておもろいよね。その声で生徒さんたちに聞かせてあげれる日をおもって療養生活がんばってもらいたい!


諭介さん、こんばんは。

下北沢の駅。
思い出がいっぱいいっぱい詰まった駅だったのですね。
読んでたら
わたしまで少しセンチメンタルになっちゃった。()
(影響されやすいんです(^^;)

でも、上手く言えないけど、
もちろん、そのまま残ってくれているに越したことはないけど、
思い出の場所がなくなり新しく姿を変えてしまったからこそ、
より強く残ったり、思い出したりできるのかなーって、思ったりもします。
上手く言えないけど・・・()
思い出は一生色褪せないですしね^^

新しくなった下北沢の駅で、
またすてきな思い出がいっぱいできますよーに


デニーズみたいでデニーズでないジョイフル、
深夜ではなく、昼間にひとりで行きましたよ~
まさしく、同じ席!同じ風景だった^^
けど、ちがうお店かな?笑

延岡、優しい風が吹いてました。 
またいつか、行ける日まで
(ゆな 201343 21:00
お-行ったかねジョイフル。これは国道10号線のジョイフル。あんときのまんままだあるのがうれしいわ。


■「大切な思い出が詰まった場所が変わってしまうのは寂しいですね。当たり前だと思っていたものが当たり前じゃないんだって気付いた時にそのものの存在の大きさに気付いたりするんですよね。

大切な思い出は時が経って色あせてしまったと思っていても誰かに話す時にまたキラキラと輝きだすもの。きっと諭介さんの心の宝箱の中で下北沢駅の思い出もキラキラを待っているかもしれませんね。

追伸 横浜~延岡へのツアー写真、一緒に旅したみたいな気持ちになれて嬉しかったです。ありがとう
(夕陽 201348 15:13
うん、やっぱりねいろいろあったから記憶の整理整頓して残しときたかったのよね。読んでくれて写真みてくれてありがとう。


■「下北沢の思い出は、私にもたくさんあるけれど、
駅に一番近い()思い出をあげれば、線路沿いの10連ボードと呼んでた
大きな看板広告がデビューシングル風の子のになったときのことはよく覚えてます。
今回のコラム読んで懐かしくなって引っ張りだした私の日記にも
「下北の10連ボードはインザスープになっていて」って書いてあって
当時の私の中でかなり重要な出来事だったみたいです。
あの頃は使い捨てカメラだったから、ちゃんと撮れてるかわからなくて
前を通るたびに同じような写真を何回も撮ったりしましたね()
そして、そこから数年後。その10連ボードの写真を私と同じように
撮った人がいることを知ったときもなんかちょっと興奮しました
下北沢駅の線路はいろんなところに繋がっているみたいです
駅が地下に変わっても、みんなが好きな下北沢駅になればいいな
A.T  2013419 1:36
あぁ 確かに駅から近いねあそこ。ここだけの話あの時、恥ずかしながら嬉しくて自分も看板の前に立って写真とったわ、内緒ね。お陰さまで小僧ハナタレ13さい。これからもよろしく!





4 件のコメント:

  1. 石巻のライブハウスは、震災後に寄付を募り建てられたんですね。少し驚きました。震災が起きたとき、音楽はやっぱり優先順位が後になっていて、ライブハウスに人が来れなかったりしてましたもんね。だから、震災後にそうやって、みんなに音楽やライブが必要とされて復活したっていうのは嬉しいことだなって思いました。最近、仙台の友達から、震災を経験して気づいたこと、もしものときに用意しておいた方がよいもの、大変だったことを細かく書いた手紙をもらいました。忘れないようにしているつもりだけど、やっぱり少し薄れて来ていて、ときどき思い出して怖くなったり、考えたくなくなったりします。そして、今回諭介さんたちが石巻にライブに行ったことでも同じような気持ちになりました。この間、稲毛のライブでも石巻でのライブと同じセットリストで演奏してくれたことは行くことができなかった分、とてもありがたかったです。お花見をしていたお母さんの気持ち、その風景を見ていないのに桜を見たらきっと思い出すような気がします。いつもと同じように咲いた桜の木も学校にあげられた鯉のぼりも食べることはできないけど、体じゃなくて心に力をもらえる。音楽も同じ。元気を繋げて欲しいなって思いました。今日のインザスープも楽しみにしてます♪

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  2. 石巻、いつものように「LIVEを観に行こう♪」な
    気持ちで行って良いものか正直悩みました。

    観光して、美味しいもの食べて、お土産買って、、、
    私にできることはそれぐらいだったけど、
    それで良いのかなって、諭介さんのLIVEがなければ気づけなかったとおもいます。
    中尾と草場。
    フルバンドに負けないアコギとベース。
    諭介さんの力強い、それでいてあったかい気持ちが込められた歌声がとても印象的でした。
    地元の方々の笑顔も素敵だったな。

    東北ライブハウス大作戦。
    人と人が音楽で繋がっていく。
    参加させていただけてよかったです。

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  3. 20日のインザスープライブ、行きました。毎年この日とジュテームの日は予定を入れずに楽しみにしてます。約7ヶ月ぶりにみるインザスープ、どんなに時が経ってもそれを感じずに無条件で楽しめる時間。私にはやっぱりインザスープの音楽が必要だなあと感じました。

    この日いただいた新曲CDもとてもよかったです。私は特に『僕らのスペース』が好きです。訳もなく寂しさを感じてしまう時も強くいられそうです。
    素敵な歌達を届けてくれてありがとう。

    次のインザスープのライブも楽しみにしてます。

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  4. 中尾さん、こんばんは。被災地は現在も大変な状況と察します。町がだんだんと整っていったり仕事を再開されてる様子をテレビで見ますが、現地の方のパワーにはほんとうに敬服いたします。復興のお手伝いをしたり石巻の息吹を実感されたりして、中尾さんの心に何かはっきりと訴えるものが生まれたのでしょうか。共鳴し合った笑顔のパワーが石巻から日本へ循環していきますよう祈ってやみません。
    p.s.子どもの頃によく見てたアニメは何ですか?自分は北斗の拳が印象に残っています。あ、キャッツアイ見てた。

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