2012年10月26日金曜日

Vol.152「ただ立ってるように見えるアンテナも一人で立ってるわけじゃないし、いろんなことを感じてるんだわさ、秋はそれを浮き彫りにする」の巻

 風、少しずつ冷たくなってきて、朝焼けはなんとも言えない色合いで素敵な一日を予感させてくれる。
透明で清潔なこの秋の空気が好きだ。ようやく秋が秋らしくなってきたこの頃、いかがおすごしか。

この度、この連載も今までお世話になったB-PASSより引っ越しして、今まで同様T氏の協力のもと、こちらで続けさせてもらうことになりました。これからもよろしくです。

月に一度のこの連載、秋がその清潔で僕の心を浮き彫りにするみたいに、なんでもないことでもぽちぽち書いていくと浮き彫りになってくこの場所はいつしか自分にとって欠かせない場所となりました。何でも長続きしない僕が連載初めてもう12年。好きで自分のために書いてるとは言え、T氏とここに遊びに来てくれるみんなのおかげやなぁと実感してます。ありがとう。

今月はインザスープ年に一度のワンマンライブ、ジュテームがあった。
完売御礼、集まってくれたみんなの顔が笑顔で咲いていて今も頭に焼きついてる。なんていい顔してるんだとそのエネルギーを体いっぱいに受け取って歌を音を発させてもらった夜やった。

人から力をもらって出せる力ってやっぱりあるんだなぁとおもう。
それは言葉だったり、笑顔だったり、その人が生きていてくれてるだけでも、勝手に力をもらってることがある。
それはもちろんバンドのメンバーの音でも僕の歌は変わったり。
最近気づいたけど、僕は一人で歌ってても自分の中でバンドの音が鳴ってんだなぁと感じる。その中で歌ってるんだと気づくことがある。
なんだかそれがおもしろい。

きっと誰でも全くの一人で生きてる人はいないんじゃないかとおもったりもする。
それに気づけるか気づかないかの違いだけやろなとおもう。不思議なもんやとおもう。この透明な秋はとくに、自分はただのアンテナみたいなものなんじゃないかと思うことが多い。いろんな人や出来事に動かされてる気になる。

ジュテームが終わった後、ライブに来てくれたギター弾きの15才の男子に「曲ってどうやって作るの」って聞かれた。
僕は自分でもよくわからないので、こっちが聞きたいわともおもい一瞬戸惑ったが、「いっぱい恥ずかしい曲を書いてみたら? 恥をいっぱいかいてみたらいいんじゃないか」的なことを伝えた。その男子にいっておきながら自分にはねかえってきた。

自分がはじめて作った曲は、いまだに最初の部分だけ覚えてる。高校の頃、何日後かに決闘をせねばならなくなり、恥ずかしい話だが非常に不安で一人でいるといても立ってもいられず曲をつくった。その歌詞が「人間には越えなくちゃいけない壁がある~ぅ」とかだった。
いきなり人間から入るあたり我ながら何様なんだろうかと、神様目線かよと、いまだに恥ずかしい。しかも曲調は当時聞いていた長渕剛の曲調でさらに恥ずかしい。その当時でもなんとなく長渕っぽいなぁとおもっていたが、やめとけばいいのに彼女に聴かせたりして、聴かされた彼女はお世辞も言えず、首をかしげたりして、こちらは恥ずかしくて顔が熱くなったのをおぼえてる。

でも、だからああいう恥ずかしい思いはしたくないなぁと、もっとましになりたいなぁとおもってそんなことを繰り返してるんだとおもう。
それからも何度も恥ずかしい思いはしたし、いまだにできた曲にがっかりして浅はかさをおもいしらされたり、恥ずかしかったりすることのほうが多い。それでも一年に何曲かでもライブで歌いたいなと、ずっと歌っていきたいなぁと思える曲が出来たときは何よりも嬉しくて空が晴れる。たぶんそんなことの繰り返しなんだろうとおもう。最初からすんなり作れる天才でありたいところだがどうやらそういうタイプではないようで、あっちでぶつかってこっちでぶつかってタイプのようだ。

自分にとって曲はホントに不思議なもので、一回作れたからといって次も同じように作れるかというとそうではなく、また全くなにもないところにもどる。パソコンや携帯の操作方法やノウハウがあるものは、一度覚えるとずっとつかえてやれることが増え積み重ねられるけど、曲作りは空き地にもどる。できた時はあんなに自信満々だったのにまた何にもなくなる。だから教えられることがない、不思議なもんだなぁとおもう。

心はきっと色んなことを感じていて、ただの言葉にできない秋の朝焼けみたいなものがメロディーと一緒になった時や、過去も現在も、未来さえ通してしまうような線になった時にやっとできたとおもえるんだろうとおもう。慣れてしまうと曇ってしまってやっかいだけど、だからおもろい作業なんだろな。だからまた自分でも一見わけがわからなかったり、なんじゃこれとおもっても、心地よく線が通ってるようなものができたときがおもしろくて、それをおいかけてるようにもおもう。

だから遠くまで見える透明な空気感の秋は、アンテナも光って遠くの電波もキャッチできるような気分になって好きや。
読書の秋、芸術の秋、聞いて観て読んで食べて感じて共鳴して、たくさん心響かせたい秋であります。
ハバナイスオータム!



シェルター楽屋より
何度この扉をあけてあちらの世界に
とびこんでいったんだろ。


ニックレック
メンバーそれぞれアンテナたてて
今の音をキャッチ中。


秋はポストも光ってる。


んだ曲は匂いのようなものでもあるね。


高田渡さんの映画をみて
生活の柄という曲にはまる。
秋は秋からは浮浪者のままでは
いられない。


みえてますよ


ここには一度行ってみたい。名前勝ち。


東京タワー
のぼったらみえないから
ながめるものなんだろな


ふむやつ。
エレキのときずっとこれ一個。
音がジャ-ンとなるやつ。
やっとわかってきた。

◆独占企画・諭介がお答え致します

■「私は高倉健さんの「本気ならそれが滲み出てくる」という言葉が気に入って、メモしました。滲み出したい!
ジュテーム、少し遅刻したものの参加できました。自分の実体験と重ね合わせて曲を聴くことができるようになっていました。特に身に染みたのが「テレフォンミー」(笑)。

曲を聴くと、自然とサビが口から出てくる感じが、「ああ、私はインスーの曲を体で覚えているんだな」と思いました。

楽しい時間をありがあとうございました2012108 7:31  by.みい
一回体にしみちゃうと一生もんやね、そこにふれると細胞が開く感じ、こちらも同じくや。 

■「・ たい焼きは頭から・おでん最後はこんにゃく・毎月ここへメッセージ。私の中にもルールがあります(もっとかっこいいのもあります!笑)。でも自分だけの ルールは、誰かにとってはどうでもよくって、わがままや頑固に思われちゃったりするかもしれないですね。会社や学校なんかのルールは面倒くさいな、堅苦し いな、なんて思ったりするのに、自分のルールは守ってる方が簡単で、壊す方が難しい。だから、ときどき誰かが私の教科書を破ってくれると、それが逆に心地 よかったりも。最近では稲毛のライブハウスにマラソンで行く人がいたことにそう思いました(笑)。健さんもきっと諭介さんに会ったら笑うんじゃないかな。 今日はまだなんとなく、あーつい秋です。ジュテーム楽しかったですね20121012 15:28 by. A.T
 んだ、おもろかったね、 破られる気持ちよさもわかるねたしかに。そういうことも増やしていきたいわ。

■「諭介さん、こんにちは。
自分のルールって考えた事なかったけど、そういうものを持ってる人って周りに流されず、どこか凛としていてかっこいいイメージです。私もそんな人を目標に自分の中のルール、失くさずいたいでそ。

話 は変わりますが、今年もジュテーム行きましたよ! 普段あまりやらない曲をたくさん聴けて嬉しかったです。昔は当たり前のように毎月観ていたインスー (笑)を年に一、二度ぐらいしか観られなくなったのは残念だけど、それでもこうやってジュテームの日だけは変わらずみんなで盛り上がれるって幸せです。こ れから先もずっとジュテームだけは続けてほしいな。うーーんと将来、おじいちゃんになった諭介さんが「むし」でジャンプするのも見てみたいです(笑)私も 一緒に跳びたいから足腰丈夫にしとかなきゃ!20121014 10:50 by. 夕陽
 だは、年相応になってくやろなぁ。跳ばなくなっても跳んでるように見える技は会得してるやろなぁ。

■ 「こんにちは。健さんの本持ってます、中尾さんのブログ見て。あまりにもやさしくて繊細で丁寧でエネルギッシュで。この本読んで高倉健さんにびっくりしま した。一本きれいな芯が通ってる人は自分のルールを持っているんですね。秋空のように清々しい気持ちになりました。ありがとう。p.s.中尾さんと弟さんと似てるところはどこですか? ちなみに自分と弟の似てるところは、、AB型なところです。20121023 14:47 by. 記名無し
 お-健さんの本買ってくれたんやね、なんかうれし。清々しい気持ちになるのわかるね。弟と似てるとこは声って言われたことはあるね。似てないとこは兄のほうがハンサムというとこかしら。