2010年6月27日日曜日

Vol.125「梅雨、カミナリ」の巻

むしむし暑い夏がほらほらきたぞー。梅雨は今にも大洪水、泣き出しそうになる喉の奥が締まる感じをずっとやってるようで、曇ってばかり。
37になりました。ピッカピッカの人生37年生、ピッカピッカです。さすがに全部がピッカピッカではいられないようでありますが、ピカピカです。しかしここまできたら、イメージするのはギンギンギラギラのジジィ。73歳くらいの日焼けした肌のしわくちゃのギョロギョロジジィ。憧れます。はやくなりたひ。
いかがおすごしか。
6月9日、代官山晴れたら空に豆まいてにて、竹原ピストル氏と遠藤賢司さんと共演させてもらった。ピストル氏は10年ほど前、仙台のゼップだったかライブハウスにて、自分等が一番目の出番の前、前座で出演していたのが、初見で、出番前にソデからみていたのだが、それまでタイバンしてきた誰より圧倒的なパワーを感じ、心盛り上がり自分等の出番にも影響をもらったことをおぼえてる。んだからして、それから何度かのタイバンはいつも楽しみで、今回も共演できて嬉しかった。やっぱりピストル氏はかっこいい。
エンケンさんは、自分が十代後半の頃、「フォーク年鑑」というテレビ番組を観たのが初めてだった。70年代のフォークシンガー達の演奏や思想や時代背景を紹介していたのだが、懐かしい的な雰囲気の番組の中で、一人だけ様子の違う人がおり、四畳半一間にてギターとハモニカをかき鳴らし、吹き飛ばしていた。曲は自作の70年代につくられた曲なのに、その画面からはみでてくる迫力は、「今」 でしかなかった。
人間の爆発、心の激しさがギターとハモニカと歌が一緒になって噴き上がっていた。
長渕剛の歌を聴き、フォークソングに興味をもち、そこにエンケンさんはいた。
そのテレビの中でエンケンさんは、みんなと同じように、ボブ・ディランをラジオで聴いて電気が走ったと語っていたが、ボブ・ディランを聴いても走らなかった電気が、エンケンさんをみて走った。たくさん音楽がある世の中で、衝撃的な出会いだった。
当時のカミナリが目の前にいるようなものだ。
自分がこうして歌い続けてきた、はじめの加速をくれた人の一人だ。
微塵の懐かしさもなく、今を爆発させ続けてきた人の強さがあった。
今の中に、音楽の中にこそ永遠が光ってる。エンケンさんは純音楽をやっていると自分でうたっているが、その意味がわかる感じだ。エンケンさんは一人でバンドをやっているようにみえる。しかもパンクバンド。60歳を超えて、ひとりでパンクバンドをやり続けてる。個人の宇宙、生ギターのホールから無限のグルーブが会場を包む。
十代の頃、エンケンさんの「夜汽車のブルース」という歌に感化され、「ワンウェイトリップ」という歌を作った。
畑の真ん中や路上で歌ってただけの自分が、ライブハウスと呼ばれる場所で、できるはずもないと思っていたころ、後輩がライブハウスのオーディションに合格したと聞き、「なにをー!」となり、自分もその歌でフォーク喫茶のオーディションを受け、合格した。何かが前進したきっかけをくれた曲になった。
何かこう、ああだこうだと考える前に、爆発、生の実感。エンケンさんや70年代のフォークシンガー達が僕にくれたメッセージは「自分を歌え!」だった。            
その夜、エンケンさんには十代の頃にもらったカミナリというよりも、国宝的なものを感じ、自分のまだまだ感をさらに感じた次第だ。大きな波が来た時に波にのれるか、波にのまれるか。こちら側の体勢で大きくかわる。その夜、やっぱり大きな波を肌で感じた。
同じステージに立つのだし、もらったもんはかえしたいとおもうものの、リハーサルの雰囲気からして、神々しくみえ、またなにか大きなもんをもらってしまった感じだった。
今までも、何度も大きな波にのったり、殴られもしてきた。その度、結局はいつも、自分は自分の事を、やれるだけやるしかないってな当たり前なことにいきつき、よりもっと自分であり続けたいとさらに強くおもわせてくれる。そんな夜だった。10代の頃もらった衝撃がアッパーで頭ぶっ飛ぶ感じだとしたら、今回はみぞおち一発くらったような衝撃で後までジワジワときいてくる感じだった。どちらにしても、新しい波を自分の肌で感じることができるのは、自分にとって喜びです。十代の頃にカミナリをもらった人との奇跡的な夜、その人がさらにずっと先を走り続けていることを体感した夜。この経験を吸収し、自分は、より自分の歌を歌い、自分の理想のギンギンギラギラ波乗りジジィになれたらとおもう次第。

そういうことに触れるたび、体は勝手にバトンをもらってる。さざ波眺めるのも好きだけど、やっぱり自分は、高い波に出会えることが幸せなことです。心殴ってくれる友達や先輩や後輩や。2010年波高し、いつもこっから先が楽しみな37才、幸せもんであります。

よい夏を!

P.S.日本の若者の音楽雑誌のネット連載ということで、あえていいますがよ、日本の音楽、フォークやロックの歴史の中には、時代を越えてビカビカ光っている人達がおるよ。そういうものに出会えた時の喜びでかく、なんかが広がりまっせ。
今好きな音楽のバトンやル-ツをたどっていくのもおもろいかもだ。
歌は世につれ、世は歌につれとあるが、また音楽は古いも新しいもなく時代を越えてくものよね。
新しいものは過去の中にもあるわよ、なんつって自分は何をしていようが、そういうものをつくっていきたいとおもう次第です。