2009年11月4日水曜日

Vol.117「芸術の秋、チームワーク」の巻

 めっきり冷え込んで、長い冬になりそうな予感を感じ、はやく春がきてくれないかと願う今日この頃、いかがおすごしか。あっつい夏やさっむい冬に宿なしのおっちゃんらがベンチや道端で寝てるのを見かけるけど、あっちーのやさっみーのを耐えるだけでも、かなりきびしーもんがあるなーと。むしろ何もせずに、ただ耐えるだけってのは、かなり精神が強くなければできないことだろうとおもったりする。

 バイザウェイ、寒くなったとはいえ、また少しは秋らしくなるだろうってことで芸術の秋。改めていかがおすごしか。

 2009の秋は、自分にとって非常に秋らしい秋になりそうだ。劇団ぺテカン(http://www.petekan.com/)の主題歌を作ったというのはでかい。役者さんが初めて台本のページを開き、初見で声にして、それぞれの役者が読んでいく本読みに立ち会い、そこで感じたことを持ち帰り、ポロロンと曲にして、バンドのみんなで肉づけし録音した。

 それが舞台のどこかで、ほんの少しでも流れるってのはおもしろい。というか作ってる段階、というか、たのまれた時からおもしろい。

 自分は、独りでぼそぼそ歌うのも好きだし、叫ぶのも好きだけど、誰かとぶつかって何かを作るのも好きだ。自分の見えてる世界をそのまんま誰かの力を借りて、ここはこうでと一緒に作ってくおもしろさもあるけど、自分が作ったものを人がぶっ壊したり、自分がぶっ壊したりして、結果、この世になかったものが、新しくできるのがおもしろい。これはもう、互いの生きざま勝負みたいな感じだ。

 自分は、会話や約束よりも、そこにコミ二ケーションを感じる。言葉だと気を遣ったり、言葉たらずだったりすることが多いけど、共通につくりあげるものがあって自分のやってきた音楽というものに、没頭し、遠慮なくそれをぶつけ、相手もまた自分のやってきたものをぶつけ、誕生させる空間。非常に儚く愛しいものではないかとおもう。

 劇団、ぺテカンのことを書こう。ぺテカンとはもう15年くらいの付き合いだ。中学校からの同級生、本田誠人が結成当初から脚本、演出を務めていたので、観にいったり、ライブにきてくれたり、飲んだりしていた。また、バンドと演劇の即興対決をしたり、一緒にライブもやった。

 ずっとみていて、ぺテカンのすごいとおもう一つに、チームワークがある。結成したときからメンバーそれぞれが、役者のほかに、大道具や音響やらを担当してるのもそうだし、作品を観ていてもおもうが、もひとつおもったのは、野球だった。
 自分は、インザスープのメンバーと田中の大ちゃんと、あと野球経験者などで「ガッツジャパン」という野球チームを結成し、ぺテカンチームと対戦した。

 ぺテカンチームには野球経験者が誠人を含め2~3人と少なく、おまけに女優陣も参加しており、その時点で我がガッツジャパンは勝利を確信した。とはいえ負けるわけにはいかないので手をぬくこともせず、野次なども飛ばしあいながら白熱した。ぺテカンチームは案の定、女子もいるし、エラーはするし、あんまり打てないし、一人一人を見たら、すんごくへたくそであった。であったが、ミスが起こる度にだれかが必死にフォローにまわり、遠くからでも声を張り上げ、テンションを高めあい、次第にその熱がでっかい塊のようになってきた。互いに勝利を信じ、何よりにこやかに、全員で野球を楽しんでる。それから何度も奇跡が起こり、自分はピッチャーを担当したが、女子にも男勝りな打球でヒットを打たれたりと、あれよあれよと終わってみれば、我がガッツジャパンは敗北を喫していた。

 今でも覚えてるあの感覚。目の前で、ありえないことが立て続けに起こっていく。一人一人はそうでもないのに、塊になるとすんごい力を発揮する人たち。こんなことって、チームワークってホントにあるんだなぁと。キン肉マンが友情パワーって言ってたり、がんばれベアーズ系のへっぽこチームが、勝利し、のしあがっていく系の映画だったり、漫画や映画の世界だからだろうっておもってた奇跡をホントにおこす人達。信じる力、信じ合う力を、びっくりするくらいまざまざとみせつけられた。
 勝利に喜びあうぺテカンチームの非常に神々しい景色に対し、漫画や映画であれば悪者風に映るポジションに自分たちがいること、自分の中の怠惰な心などを恥じた。その上に、自分らのユニフォームには、胸のところにデカデカとカタカナで「ガッツ」などと書いてあり、隠したくなり、「何がガッツだ」とおもったことを覚えている。

 チームワーク。へっぽこでも、気持ちで、信じる力があれば、奇跡を起こせる。自分の場合はそれを音楽やバンドで感じてきた。今回の主題歌のレコーディングでも、それは起きた。ニックバッカーズにて互いを信じ全員でぶつけあった塊を、そんなぺテカンにぶつける。それぞれにバラバラになってくなんてことも、時いく毎に感じたりもするが、だからか、こうやってこっちはこっちの塊をぶつけたりして、チームとして関われたりすることは贅沢なことやともおもうし、嬉しく思う次第だ。

 しかしこれ、ほんとにあるんだね、がんばれベアーズ的なことって。
 向こう三軒両隣、町内会でチームワーク、広がって世界、なんてことを簡単に考えれば、世の中意外とよくなったりするんじゃないか、なんてことを隣人の顔も知らない部屋にておもってみたりして。

 ともあれ、全国のエブリバデ、そんなぺテカンにニックバッカーズが主題歌で参加した「拝啓、絶望殿」観劇されたし。ハバナイスオータム!
終わり