2007年3月29日木曜日

Vol.86「春のひポワン、ダメ謳歌」の巻

 春やね~、ぽかぽかするね~、手放しで歩けるのがいいね~、ポワンや。
 昨日、飲んだ帰りに新宿駅まで歩いて帰ろうってことになり、クールドライブってバンドの大ちゃんと、朝の4時頃よちよち歩いてたら春風が気持ちよくて、そうしてるのがおもろかった。何話したか忘れたけど気が付いたら、隣りの四谷の看板見えてきて「ちがうやん! ちがうやん!」って笑いながら引き返してぷらぷら歩いて、格差社会のどうのこうののビルディングの足元でバカ二人で徘徊。気持ちよかったので許してね、春だから。いかがおすごしか。
 昨日は高校の時の同級生、本田誠人のやってる劇団のぺテカンの舞台をみにいった。
 30才こえて、青春荘ってアパートに暮らすダメな面々の話なんだけど、ジンとしたり笑ったり、なんかよかった。自分探しをしていると言い訳をしては、そこから離れられなかったり。夢はないけど、そこにいるみんなといるのが好きだったり、酒ばっかり飲んでたり。
 ダメなんだけど、素敵やった。
 
 ダメと言えば、この前“たま”のメンバーだった柳原陽一郎さん主催の“全日本ダメンズイベント”に参加させてもらった。ダメ男達によるライブだ。すんなり僕も誘われてるとこが嬉しくもあり、怖いとこでもあったが、ダメについていろいろ思った。
 柳原さんは「何も、かもしだしてない背中ですいません」といって、背中をむけてピアノを弾いて歌う。つげ義春の漫画にでてきそうな風貌で、全身からダメダメオーラを出しながら歌うその歌の中には、あったかいもんや、希望があって、ダメダメを前提に歌っているから、また説得力があった。
 ふと、柳原さんが歌いながら街中をパレードしてるのを想像した。ノルマをはたさなくちゃいけない人、約束ばかりしている人や、えらぶってなくちゃいけない人達もまるくなって、どんな街宣車より、戦争反対のパレードより、柳原さんの存在自体が強いメッセージになる気がした。恐るべしダメパワーや。深海魚が歌ってる感じもした。深いとこから光をみてる歌や。

 誠人が高校の頃“たま”の大ファンだったこともあって、柳原さんを誘ってぺテカンをみにいった。公演後近くのゴールデン街で、インザスープの『火花浪漫』や『ヘブン』の写真をとってくれた三浦さんが個展をやってたので、そこでぺテカンのメンバー数人と、柳原さんやバンドマンやらの八人くらいで飲んだ。六畳もなさそうなオンボロな屋根裏部屋みたいなとこの床に座って、三浦さんの写真に囲まれて。バンドマン、演劇人、写真家やら……うつみようこさん曰く「基本的にダメな人種」たち。何話したかあんまり覚えてないけど、みんな笑ってて、僕も笑った。時々柳原さんが、起きてるのに寝言みたいに「続けることだよね」と、うなずきながら言ってた。

 その部屋は3階にあって、1階にトイレがあるから降りてくと、小さなカウンターに一人おばさんがいて、聞いてもいないのにマスターが「この人はピンク映画の監督なんだよ」と紹介されて、「おぉ、エッチビデオの監督ですか」とノリで答えると、そのピンクおばさんに「ピンク映画とエロビデオを一緒にするな! その違いを800字以内にまとめて来てからじゃないと、話はできん!」「すんません」なんつって、わけわからぬまま説教されたりして、もうその全体的にダメな感じもおもしろかった。

 ぺテカンの青春荘を覗いて、三浦さんの写真みて、屋根裏部屋で飲んで、徘徊して春風吹いて。何を話したか、あんまり覚えてないけど、昨日の酒だけじゃなく、ダメでもあったかいもんが残ってて、いい気分。ダメだけでは終わりたくないけれども、ダメ自己認識のまったくないような人間にはなりたくないなとおもう。なんだかやたらと「ダメ」という言葉がそばにある今日この頃、春の日、ポワンだ。


 トンボのあかちゃん。夏また会おう。
延岡の川にて。
カブト虫のようちう。 夏また会おう。
延岡の山にて。
朝、なんかの花とツボミたち。
ちかじか会おう。
どんだけの花が咲くやろか、
どんだけのツボミをもってるやろか。
東京にて。

◆独占企画 諭介がお答え致します


■「ようやく暖かくなってきましたね。出会いと別れの季節。。。
諭介さんの出会いと別れの思い出、何かあったら教えてください」
(from:名前は載せないでね)
→自慢だけど、ボタン全部なくなった高校の卒業式。
だけど、甘酸っぱい感じはまったくなくて、記念に一応ちょうだいみたいな…。
そして上京、BGMは友達が駅で手渡してくれた、陣内大蔵さんの「空よ」や。

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