2005年5月27日金曜日

Vol.64「イエスッ! 無敵ソング」の巻

 夏到~来 夏到~来。ソウル・フラワー・ユニオンの「夏到来」という曲が、ちと早いけど似合う季節だ。イントロ、奥野さんの“デレデッテレテー” というような、なんだか鍵盤の音で気持ちが盛り上がる。くりかえし聴く、“おおおぅいぇいっ!”。中川さんのロマン歌声に熱くなる。かっこいいぜっ。そん でなんせ気温が上昇してきよるじゃないですか。もう夏足音梅雨、水まきしながらきよります。いかがおすごしですか?

 しかし、かっこいいもんは僕に力をくれる。なんなんだろうか。僕は音楽を通じて感じることが多いけど、“へー、はー、ほー、いーねー”なんていうのは昔 より増えた気がするけど、やっぱこう“イエスッ!イエスッ!イエスッ!”というか、無敵ソングになれるものは非常にありがたい。散らかしっぱなしの小さな 迷いや不安なんて、簡単にやっつけ片づけてしまうような感じだ。バカでよかったと思う。僕も『こりん星』の近くに住んでたのかもしれない。違う。もっとズ バーン!としている。広がる、未知との遭遇だ。渡り鳥が砂浜に降り立ち水平線を眺め、遥かを感じてる。前の方から風をうけてる。足下では餌になるカニが横 切っていく。問題は空腹じゃなく、鳥はかっこいい風の歌を聴いている。それでどんどん満たされていく。“おっっっっっぉイエスっ!”と海に吠えてステップ しながら、3歩でカニをくちばしでついばみ、腰をくねくねさせながらカニを食い、ピーーー!っと叫び羽を広げ、しっかりと足裏で砂をにぎり、そして思い切 り蹴りあげて、また飛んでいく。鳥はときどき聞いた事のない歌を思いつく、それを口ずさみながら飛ぶ。風がその歌を運んでいく。また違う砂浜で、カニ達が いつものように微生物を大きなはさみで口に運んでいると、風が運んだ鳥の歌を一匹のカニが“おおっ、この歌なんかかっこいいぜ”と感じまくり、はさみを空 に向け走りだす。それをみていた他のカ二達も、“おおっ、なんかっこいい走り方だ”と走り出す、イエスッ! それがカニ祭りのはじまりだ。夜遅くまで祭り を楽しんだカニ達は、それぞれの砂浜の穴の中に帰って“なんかわからんけどかっこよかったぜ”と眠りにつく。砂の穴に響く遠い波の音。カニは夢の中で、波 のリズムでハミングする。ハミングは海の魚達の子守唄になる。

 “ああ、かっこいい”の旅は限りなく続いて、僕の頭の中ではシャンソン歌手が歌っているとこまでいったが、あまりに長くなったので省略させていただきま す。で、“かっこいいぜ”や、もう夢中になれるもんてのは、唯一無比、宇宙でただ一つの存在を感じられる。なにかやらかせる、やらかしたろうと思わせてく れる。バランスとってるだけ、間に合わしてるだけ、バカにされない程度にやりすごしてるだけ、な、自分に気付かしてくれたりもする。そんなものをとっぱら い、もう難しいことことは放棄してイエス!な気分だけをまき散らしてやるぜと、この夜の大宇宙に中指立ててるイメージの今だ。ライヴでっ!

(2005.5.20)

 「見えるでしょうか 新しい葉っぱがめぶいてます。夏到来」
(2005.5.23)