2004年5月27日木曜日

Vol.52「刺激的日々」の巻

  このたび私中尾諭介は、ドラマ出演することになった。これは非常に刺激的な経験だった。 しかもほとんど映れてない様子なんだけど、一つの「物」を作るその場の空気、はじめて会う人達と作ってく刺激的な日々。知らないとこへ飛び込んでいく感覚は、久し振りだ。クラス替えしたばかりの、“友達できるかなぁ”的な感覚。現場の空気は、監督、カメラマン、照明さん、音声の人、交通整理の人、出演者、何十人って人が一つの「物」を作るため、あの小さな画面にワン・シーンをおさめるために、張りつめて、時に笑いあい、テンションを高めていく。ひとつのことへ向かって、それぞれにそれぞれがいろんなことをこころみて、互いに反応しあう。
みんながセッションしあっているところは音楽と似てるなぁと思った。がしかし、当の自分は、画面上なかなかどうなってるのかわからなかったりと、やや悔しい思いも多かった。待ち時間がかなり長く、そのあいだ本番にむけてのテンション高めあい、ケツバット大会を五、六人でしたりおもしろかった。仲間意識もできて、いろいろと教えてもらったりした。短い間やったが撮影終了時には少し寂しい感じもしたもんだ。良かったら見てみて下さい、『ビーバップハイスクール』。三十にして、そりこみいれてるぞこのやろう。
 役者と言えば、高校の頃一緒に漫才をやっていた本田誠人という男がいる。東京でペテカンという劇団をやっているんだけど、今回地元の宮崎、延岡で公演をするらしい。しかも場所は大ホール。
ペテカンの演劇は静かで、日常のごくあたりまえのなかにあるドラマを映画のようにみせる。がゆえに、僕の勝手なイメージだが、見ててこっちが恥ずかしくなるような演劇独特の、大袈裟みたいなもんがなく、逆に難解にみられがちだ。しかも宮崎、延岡はいくら地元とはいえ演劇をみる人口なんてほとんどないに等しい。しかも大ホール。僕は言った、「無理やろーそれは無理やろー人がこんやろー」と言いながら、“おもしれぇーことやるなあ”と思った。誠人は「うん、会場を一杯にするのは無理かもしれんね、やけどああいう場所でやるのはうちの劇団にも刺激になるし、お客が少なくてもそこでどう遊べるか、なにより演劇をあんまり観たことない場所なら、なおさら観てもらいたいやん。で、なんか感じてもらったら嬉しいやん」「いやーそれにしても無理やろー」気がつけば僕は無理を連発。連発しながら、おもしろそうで笑っていた。確かに会場が一杯じゃなくても、演劇人口のほとんどない街で、ぺテカンの演劇でだれかが何かを感じたら素敵やなぁとおもった。でもどうせなら、いっぱいの人に観てもらいたいもんや。
しかしいつから、僕はこんなに無理だという言葉を吐くようになったんだろうかと、つまらんやっちゃと思いながら、負けてられんなと思いながら、宮崎、延岡方面の方々よ、ペテカンの演劇に触れてみるべしです。あぁ、僕も刺激的でありたいと思う今日この頃。ツアー、桜島、ドラマと楽しみな明日からだ。

 In the Soup待望のニュー・アルバム『ヘブン』が6月23日にリリースされます!
嬉しいワンマン・ツアーも決定です。詳しくはINFORMATIONをご覧くださいネ。
写真の中尾さんは、スタッフとの“打合せ時に”撮影したものです。